一般社団法人 在日ベトナム起業家支援協会

入管法施行細則改正省令セミナー ~「経営・管理」ビザの更新対策 ~

PDFファイルがダウンロードできます。

2025年11月1日、一般社団法人 在日ベトナム起業家支援協会のセミナーにて、入管法省令「経営・管理」上陸審査基準の改正の講師を務めさせて頂きました。当日は、会場での視聴とZoomによるリモート参加を並行して開催しました。

会場では、多くの疑問質問が寄せられ様々な対応案の意見交換が交わされました。

来場者の皆様の主な関心事は以下のFAQに纏めてあります。質疑応答の論点は、下記の①~⑤に関係するものです。

Q1. 資本金3,000万円を確保する事が困難な場合、日本人の社長が51%の株を保有する会社に転換すれば問題ないでしょうか?

⇒答え 
株式会社の場合、会社の支配権が株主に所属する事と、株主から選任された代表取締役や社長が持つ経営権に分けて考える必要があります。このうち「経営・管理」の在留資格は属人的なものであり、社長ではなく株主が誰かという点に関係します。仮に、日本人の株主が51%以上の株の持ち分を有する会社があるとするならば、「経営・管理」在留資格とは無関係な日本人オーナーの企業となります。従って、3,000万円の資本金問題とは無関係となります。
しかし、同時にあなたは「経営・管理」在留資格要件を失います。もはやあなたは入管法上申請した会社の経営者では無くなるからです。従って、あなたの会社に日本人の共同出資者が現れ51%以上株の持ち分を負担してくれたとしても、「経営・管理」の在留資格を失う事に変わりはありません。

実質的には、M&A等に依ってあなたの会社が吸収される事に他ならないので「転換」と云う概念は当てはまりません。更に、資本金の出資を伴わない日本人の社長をあなたの企業に迎えても、あなたが支配権を持つ株式会社である以上「3,000万円の資本金」要件は何ら変わないと考えられます。

Q2. 日本人の出資による会社に、従来「経営・管理」在留資格を持っていた外国人が取締役として雇用された場合「技・人・国」の在留資格を適用する事は可能ですか?

⇒答え 
「技・人・国」の在留資格における申請要件の問題に尽きるので、該当する条件を全て満たす事が出来れば当然申請はできます。

Q3. 要件③の常勤者雇用義務に関して、日本人や日本人配偶者以外ではどの様な定住者がいるでしょうか?

⇒答え 
何らかの事由で、永住権を獲得した外国人が引き続きその永住権を失っていない場合は該当者となり得ます。

Q4. ある在留資格を保有し企業に勤務する外国人が、その資格の業務範囲外の仕事を与えられて従事している場合には、次回の在留資格更新の際問題が生じるでしょうか?

⇒答え 
その可能性は高いと考えられます。ただし、留学ビザの学生がコンビニでアルバイトをする際と同様に、資格外活動の合計勤務時間やその比率にも依ります。従って、全ての担当業務をラベリングして統計値に纏め再確認する事をお薦めします。
また、企業側の教育訓練計画が確立されており、この方を長期的に育成する一環として「今は」この仕事を覚えて貰っていると云えれば更に有利になります。明確な方針と育成計画のマイルストーンプランを、使用者側の企業が示す事が出来れば打開の余地は増えると考えられます。また、ご本人が現在与えれている職務の範囲で、新たな在留申請が可能となる様な資格を取得する事もご検討頂く事を推奨します。

Q5. 経営・管理とは直接関係ないのですが、10月16日以前に「技・人・国」の在留資格更新申請をしました。すると、申請が10月16日以降に差し戻されてしまいました。今回の、省令改正が影響しているのでしょうか?

⇒答え 
直接的な影響を受けている可能性は極めて低いと考えられます。また、これが仮に「経営・管理」の在留資格更新であったとしても、10月16日以前に受付されている限り審査基準は省令改正前の基準で運用されているはずです。ただし、入管審査の精度が全体に上がり、「技・人・国」の審査要件で従来は問題無かったか許容範囲内にあったものの、今回の更新審査では不備と判定される場合があり得ます。担当された、取次行政書士に事情を確認され在留期限が近づく前に早めに対処される事をご推奨します。

最新情報